旅の記憶 日本編 花咲線


日本を旅をする時、旅の情緒を感じる移動手段はオートバイと鉄道だと私は勝ってに思っている。なぜだろうかと考えてもよくわからない。これも人によって違うのは、たぶん生まれ育った環境の違いだろうか?
 鉄道にはオートバイのような自由さはない。しかしホームで列車を待つゆとりの時間や、人とのふれあいなど心暖まる旅がある。

 釧路の東に位置する厚岸。ここはカキで有名だ。特に厚岸駅のカキ弁当はおいしい。一般にツーリングで釧路から東へ向かう場合国道44号を使う。国道44号は釧路と根室を結ぶ動脈なのでトラックなど交通量は多い。そのため私は厚岸からは厚岸大橋を渡り霧多布へ向かう海岸線の道を選ぶ。この海岸線のルートは交通量も少なく見どころも豊富なのでよほど急いでないかぎりこのルートがツーリングで利用される。そのために私は厚岸ー厚床間の国道44号はほとんど記憶になかった。
 数年前、天気の悪い日に釧路から根室に向かうことになった。海岸線の道は天気も悪いのでおもしろくないと思い、その日は厚岸からも国道44号を進むことにした。国道44号は厚岸の町を過ぎるとすぐに厚岸湖に続く湿原が右側に広がっている。しばらくはこの湿原の端を進むことになる。
 走りながら湿原を眺めていると、遠くにヘッドライトが見えた。天気が悪いためかやけの明るい。その明かりは湿原の中をこちらに向かって進んでくる。すぐに列車だとわかった。
 その1両の列車は音もなく湿原の中をまっすぐに私に向かって進んで来て、数百メートル手前でカーブし小さなレールの音を残し走り去っていった。一瞬のすれ違いだが、私の頭の中には遙かな湿原の中を1両だけ走る列車のイメージが離れなくなっていた。
 現在厚岸ー根室間は快速を含めて1日8往復走っている。釧路までは特急が走っているのだが、釧路から先は1両編成のワンマンカーとなる。ちょっと寂しいがこのローカルな風情は旅の情緒を高めてくれる。ツーリングの途中でこんな箱庭のような湿原を走るローカル線を眺めて旅の風情を味わうのもおもしろいかと思う。


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